ジュンさんと音楽理論

ジュンさんと音楽理論「和声法中級」 4 同主調変換・モーダルインターチェンジ

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登場人物紹介

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ジュン 27歳
音楽理論の講師。和声学を得意としている。
音楽理論はほぼ全分野網羅しているが、リズムだけはどうも苦手。

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あーちゃん 17歳
音楽理論を習っている生徒。まだまだ中級。
はやくいろんな理論を勉強したいと思っている。

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ひさし 18歳
音楽理論を習っている生徒。まだまだ中級。
勉強は苦手で、実は英語などもジュンに習っているがこの間「一回死んでやり直せ」と言われたため傷心中。

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あーちゃん
うわっ!

ひさし
あ、あーちゃん・・・・・・。

あーちゃん
どうしたの?すっごい暗いじゃん!!

ひさし
実はね・・・。この間から受験勉強の英語もジュン先生に教わることになったんだけどさ・・・。


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ジュン先生
違うって言ってんだろ、バカ。

ひさし
ええ?違いましたか?

ジュン先生
だから、過去形と過去分詞はまったく別モンだ。何回言えば分かるんだよ。

ひさし
だって同じ過去じゃないですか!なんでこんなややこしくしてるんですかね、英語って。

ジュン先生
んなこと言ってたって仕方ないだろ。ああ、もういい。お前一回死んでリセットしてこい。そのほうが早いわ。

ひさし
そんなぁー。。。


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ひさし
と、言うわけなのだよ・・・。

あーちゃん
なんでまたジュン先生に?こうなるの分かってたくせに。

ひさし
いや、あの人の厳しさなら俺も勉強できるかなって思ったけど・・・。あまりに厳しくて・・・。ああ、胃が痛い。胃が痛いよ・・・。

あーちゃん
あーあ、こんなに暗くなっちゃって・・・。まるで別人・・・。

ひさし
どんなに暗くても、僕は僕。ひさしはひさしさ。気にしないで・・・。


 

 

ジュン先生
それが今日のテーマだ。

あーちゃん
あ、先生!もう!あんまりひさしをいじめちゃダメですよ。こんなに暗くなっちゃって・・。

ジュン先生
だってこいつが想像を絶するバカなんだもん。

あーちゃん
なんだもん、じゃないですよ。ひさしもそんなに落ち込まないの!

ひさし
どうせバカだし・・・。ああ、僕なんて・・・。

あーちゃん
そんなに暗いひさしなんて、ひさしじゃないみたいだよ!


ジュン先生
だから、それが今日のテーマだ。

ひさし
さっきからそれ、どういう意味ですか?暗い俺も俺だって・・・?

ジュン先生
そういう音楽理論があるんだよ。お前もいい加減立ち直れよ鬱陶しい。

ひさし
は、はい・・・!


 

ジュン先生
ひさしにも明るい時、暗い時があるように、コードにも明暗がある。

ひさし
メジャーとマイナーですね。

ジュン先生
そうだ。CでいうとCメジャーとCマイナーがあるな。今回紹介するのはその壁を破るような理論だ。先に名前から紹介すると「同主調変換」または「モーダルインターチェンジ」という。

あーちゃん
新しい理論ですね!

ジュン先生
このモーダルインターチェンジは、「同主調」からコードを借用することによって作曲や編曲に使用できる和声の幅を広げようっていう理論だ。ちょっと先に新しい音楽理論用語を紹介しよう。


 

 

ジュン先生
キー、すなわち調ってあるだろ?Key=Cとかハ長調とかCメジャーキーとかいうあれだな。ここではCメジャーキーという言い方で統一しようと思う。この調には「近親調」と呼ばれる物がある。それは以下のとおりだ。


 

主調 →基準となる調。(Cメジャーキーの時はCメジャーキー)
同主調→主音が同じで長短の異なる調(Cメジャーキーの時はCマイナーキー)
平行調→調合が同じで長短の異なる調(Cメジャーキーの時はAマイナーキー)
属調 →属音(5度)を主音にした調(Cメジャーキーの時はGメジャーキー)
下属調→下属音(4度)を主音にした調(Cメジャーキーの時はFメジャーキー)

ジュン先生
これはな、5度圏表と言う便利な表がある。ちょっと見てみるか。


 

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ジュン先生
この5度圏表。別名Circle Of Fifthsはその名の通り、5度ずつ近親調を並べたものだ。右に進むと5度上。左に進むと5度下つまり4度上の音になる。外側がメジャー、内側は平行調のマイナーだ。


あーちゃん
へー!便利なものがあるんですね!

ジュン先生
まあこれは今回は使わないけどな。そんな近親調の中でも同主調、つまりCメジャーキーならCマイナーキーのコードを借りて使う、それがモーダルインターチェンジ、同主調変換だ。

ひさし
なるほど・・・。って、Cマイナーキーのコードって何ですか?

ジュン先生
メジャーの時と同じ。ダイアトニックコードは短調のものも存在する。詳しくはいずれやるつもりだが、今回はとりあえず一つだけ教えておく。

あーちゃん
一つ?

ジュン先生
ダイアトニックコードはもともとメジャースケールを元に作られているって前に言ったな。それと同じ要領で作られたのがマイナーのダイアトニックコードなんだ。しかし、マイナースケールってのは3つある。つまりダイアトニックコードも3つに増える。これが非常に複雑で難しい。いっぺんにいろんなこと教えてもややこしくなるだけだからな。とりあえず今回はモーダルインターチェンジで使えるCナチュラルマイナーのダイアトニックコードを教えるからな。


 

 

ジュン先生
結論からいうと、モーダルインターチェンジによって借用できる同主調のコードは以下のとおりだ。


「Ⅰm」「Ⅱm」「♭Ⅲ」「Ⅳm」「Ⅴm」「♭Ⅵ」「♭Ⅶ」

ジュン先生
この7つ。これがナチュラルマイナーのダイアトニックコードなんだ。まあ、そのうちⅡmは既にメジャーのダイアトニックコードと重複してるからモーダルインターチェンジとは言わないがな。これらはそのままⅠmならⅠの代わりに、♭ⅥならⅥmの代わりにバシっと入れ替えることができる。機能和声も同じままだ。


ひさし
モーダルインターチェンジって小難しそうな名前をしてるのに意外と簡単なんですね。

ジュン先生
そうだろ?音楽理論なんて全部そんなものだ。だけど、この中で特に有効的なのはⅣmだな。これは「サブドミナントマイナー」と呼ばれ非常によく使われている。特にJ-POPのバラード等でもかなり見ることができる。これはマイナーのコードを一時的に使うから切ない雰囲気を効率よく演出できるんだ。


ジュン先生
とひさしにおすすめなのは♭Ⅲだな。これはロック系でよく見るな。 コードのリフなんかでも非常に良く使われている。

ひさし
へー!いいこと聞いた!

ジュン先生
ついでにもう一個教えてやろう。♭Ⅵと♭Ⅶもそうだな。Ⅰ→Ⅲm(または♭Ⅲ)→♭Ⅵ→♭Ⅶなんて組み合わせはサイコーにロックだぞ。力強く進行感もあるため疾走するような曲には持って来いだ。

あーちゃん
なんだかロックとモーダルインターチェンジは相性が良さそうですね。

ジュン先生
そうだな。マイナーは「暗い」印象だけでなく「クール」な印象も兼ね備えてるんだ。だからカッコよさを追求したロックには相性は抜群だ。マイナーがクールといえどキーまでマイナーにすると暗くなり過ぎてしまうことも多いしな。そこでモーダルインターチェンジが使えるってわけだ。

ひさし
なるほど・・。


 

あーちゃん
ⅠmとⅤmはどういう時に使うんですか?

ジュン先生
これもマイナーだからクールさや暗さを持ってはいるが、なんせ元のコードがⅠとⅤという機能和声的に大事な和声だからな。あまり乱用はおすすめできない。それこそ元のキーが何だったかわけわかんなくなってしまう。まあ、たまに明るすぎてアホっぽくなることってのがあるんだがそういった時にオレは代理コード的に使うな。

ひさし
明るすぎてアホっぽいって

ジュン先生
お前も似たようなもんだな。

ひさし
ひさし、モーダルインターチェンジ!ひさしマイナー・・・・・・。

ジュン先生
使いこなせてるじゃないか。


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ジュン先生
さ、今回はモーダルインターチェンジを習得したな。少しずつお前たちも使えるコードが増えてきたんじゃないか。

あーちゃん
3コード、代理コード、セブンスコードにAug、Dim、Sus2、Sus4、セカンダリードミナントに今回のモーダルインターチェンジ!いろんなコードがあるんですねー。

ジュン先生
まだまだ、たくさんあるぞ。

ひさし
ひー!大変そう!

ジュン先生
でもその分表現の幅の広がるんだ。それにこの理論を知らない愚か者は数100個近いコードの中から手探りでコードを探すんだぞ。それをお前らはスラっと目的のコードを見つけ出す事ができる。それってかっこ良くないか?

ひさし
かっこいい!お、ここはモーダルインターチェンジ使ったらいいかもね、とか言っちゃって!

ジュン先生
そうだ。だからオレは最低限の理論の習得は便利だと言ってるんだな。さあ、今回はちょっとひさしに役に立つ理論だったな。そこで次回はあーちゃんに役に立つ「分数コード・オンコード」ってのを教えてやろう。これは和声の中でも「ベース」に注目した音楽理論だ。

あーちゃん
やったー!楽しみ!!

ジュン先生
そのためにも今回のモーダルインターチェンジはよく復習しておきなさい。

あーちゃん
はーい!


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